2007年08月04日

空いたパソコン結び「関ケ原の合戦」映像を作る

家庭やオフィスなどで使っていない多数のパソコンをネットワークで結び、「関ケ原の合戦」のCG群衆シーンをつくる実験が、開始に向けて秒読みに入っています。
ハイビジョン映像の4倍以上のクオリティーを持つという4Kデジタル映像で、大軍同士がぶつかり合う様子を細かく迫力たっぷりに描写するそうです。
実験は8月13日から始め、同日から3万人を目標に参加者を募集します。

実験は、日本初の株式会社によるデジタルコンテンツの専門職大学院、デジタルハリウッド大学大学院が、NTTデータ、字幕制作ソフトなどを手がけるフジヤマと共同で実施するもので、名付けて「関ケ原の合戦映像制作プロジェクト」です。
4Kのデジタルシネマは近年、ハリウッドの映画界でも広がりを見せており、次世代のデジタルシネマ標準フォーマットとされています。
国内の対応が急務であることから今回、文科省も同実験を含むCG映像制作環境の研究費として3年間で5億円の予算を組み、バックアップしています。

空き端末をネットワーク化して演算処理する手法は、これまで、家庭用ゲーム機「プレイステーション3(PS3)」を利用したアルツハイマー病やがんの原因究明を探る研究などに使われたことがありますが、4Kデジタル映像を作るのは初めてです。
実験では、CGで作った個々の兵士などに質感や陰影を出すため、視点や光源を織り込んだ計算処理を分担。
この工程は「レンダリング」と呼ばれ、全体的なシーンを作るためには欠かせません。

「関ケ原の合戦」の群衆シーンは、数千から万単位の兵士が登場。
躍動感あふれる動きで戦いのすさまじさが表現され、緊迫した兵士の表情や、荒々しい騎馬戦の様子、居並ぶ兵士たち、はためくのぼり旗など、戦いのさまを繊細かつダイナミックに描写するということです。
完成すると、全体で約3分の作品になるそうです。

プロジェクトに参加するには、専用のサイトにアクセスし、パソコンの動作環境を確認したうえで登録します。
NTTデータが開発した分散レンダリング用ソフトをダウンロードすれば、個々のパソコンでレンダリングが可能になり、パソコンを起動している間に、インターネットを通じて自動的に作業が分配され、結果が集約される仕組みです。

4Kのデジタルシネマを作るには、ディテールの細かな作りこみが必要となるうえ、ハイスペックなコンピューターが複数必要です。
分散コンピューティングの活用により、企業側にとっては時間も資金の負担も大幅に軽減できるそうです。
また、ハリウッドでは1作品のレンダリングのためにCPUを2000〜3000台用意しているといいますが、既存のPCを使うことで環境保護にもつながるとして、プロジェクトを通じて「デジタルエコロジー」の考え方も浸透させたいとしています。

今回のプロジェクトでは、環境にも寄与していることを目に見える形にしようと、プロジェクトに参加すると10円がデジタルハリウッドを通して日本経団連保護基金に寄付されます。
また、パソコンの実行環境が満たず参加できない人は、募金ボタンをクリックすることで1円が寄付されます。

「関ケ原の合戦」デジタル映像は、来年3月までに完成予定で、群衆シーンなどのCGと実写シーンを織り交ぜたものになるということです。
フジヤマが多言語の字幕を付けるとともに、ネット配信(圧縮版)も行い、4Kの映像設備がある映画館での上映も予定されています。
デジタルハリウッドでは、分散コンピューティングとデジタルエコロジーの考え方を浸透させるため、多くの人の参加を呼びかけています。


関ケ原の合戦映像制作プロジェクト
http://digieco.dhmsl.jp
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